018_トラブルが発生したら(ビジネス編)
中国ビジネスにトラブルはつきものです。しかも、日本では考えられないような原因であることが多々あります。トラブルが発生しても、被害を最小限に抑えられるよう、落ち着いて対処する事が必要になります。そして特にトラブルが多いのは労使関連です。原因としては、日本と中国の法律の違いや、中国人の強い権利意識、極端に安い仲裁費用等色々ありますが、日本側が日本の常識で労使問題を解決しようとすると、余計にこじれる可能性もありますので、損害を最小限に留めるためにも、信頼できるスタッフもしくは弁護士に相談することをお勧めします。
A:田中总经理,营业部的王部长不上班都有一个月了。该怎么办?
Tiánzhōng zǒngjīnglǐ, yíngyè bù de Wáng bùzhǎng bú shàng bān dōu yǒu yí ge yuè le. Gāi zěnme bàn?
(田中総経理、営業部の王部長が一ヶ月出勤していません。どうしましょう?)
B:什么!?“就业规则”明确规定,员工连续三天以上无故矿工就可以开除,你马上办理解雇手续吧。
Shénme!? “Jiùyè guīzé”míngquè guīdìng,yuángōng liánxù sān tiān yǐshàng wúgù kuàng gōng jiù kěyǐ kāichú , nǐ mǎshàng bànlǐ jiěgù shǒuxù ba.
(なんだって!?就業規則に、3日以上の無断欠勤で即解雇と記載されているから、早速解雇の手続きをして下さい。)
A:可是公司没有打卡机,如果发展到劳动仲裁,没法提供能够证明矿工的客观资料。
Kěshì gōngsī méiyǒu dǎkǎjī, rúguǒ fāzhǎn dào láodòng zhòngcái, méifǎtígòng nénggòu zhèngmíng kuànggōng de kèguān zīliào.
(でも会社にはタイムカードが無いので、労働仲裁になった場合、無断欠勤を客観的に証明できる客観的な資料は提出できません。)
労働仲裁では使用者が証明責任を負わなければならないケースが多く、また労働者保護の観点から労働者に有利な判断が出る傾向にあります。上記の会話文は極端な例ですが、会社が日本の常識にとらわれて、するべきことを疎かにしていたことが、つけ込まれた結果となっています。問題が発覚したら、すぐに弁護士に相談して対策を立てる必要があります。
B:周律师,这个问题应该怎么解决?
Zhōu lǜshī, zhège wèntí yīnggāi zěnme jiějué?
(周弁護士、この問題はどのように解決すべきでしょうか?)
C:通过电子邮件和挂号信给本人发出勤命令的同时,修改就业规则,严格管理上下班的记录。
Tōngguò diànzǐ yóujiàn hé guàhào xìn gěi běnrén fā chūqín mìnglìng de tóngshí, xiūgǎi jiùyè guīzé, yángé guǎnlǐ shàng xià bān de jìlù.
(本人へは、メールと書留で出勤命令を出し、同時に、就業規則を修正し、出退勤の記録を厳格化して下さい。)
B:就业规则由日方修改后,把样本发放给员工不行吗?
Jiùyè guīzé yóu rìfāng xiūgǎi hòu, bǎ yàngběn fāfàng gěi yuángōng bùxíng ma?
(就業規則は日本側で修正して、見本を従業員に配るのではだめですか?)
C:不行。必须得经过跟员工代表或者工会协商的程序,否则修改的就业规则是无效的。
Bùxíng. Bìxū děi jīngguò gēn yuángōng dàibiǎo huòzhě gōnghuì xiéshāng de chéngxù, fǒuzé xiūgǎi de jiùyè guīzé shì wúxiào de.
(だめです。従業員の代表もしくは労働組合との協議という段階を踏まなければ、就業規則の修正は無効です。)
従業員とのトラブルでは、この他、未消化分の有給休暇の買い取りや、配置換え・減給に対する異議申し立て等、様々なケースが考えられますので、日頃から弁護士等に話を聞き、場合によっては会社の規程等を見せて、修正やアドバイスを求め、対策を立てておくことが重要です。