2015 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.4
2015/04/15
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前回のコラムで記載した通り、在中国の日系企業の2015年昇給率予測値は中国全体で8.31%と、依然として高い数値をキープしております。JETROが2015年に在中国の日系企業を対象とした経営上の問題点アンケートの1位は従業員の賃金上昇、2位は従業員の質であり、多くの日系企業が賃金上昇に頭を抱えていることが伺えます。
参照URL: http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001917/07001917.pdf
経営課題である賃金上昇をなるべく抑えるために、各企業が頭を悩ませています。お客様訪問を行う中で、昇給率の考え方について良く耳にすることは、評価によって昇給率の差をつける方法です。では日系企業の「高い評価=高い昇給率、低い評価=低い昇給率」がされている職種やポジションは、どこでしょうか。評価と昇給率から見える日系企業の課題は何なのか。今回はそのあたりを探ってみます。
先ずは、営業職を見てみます。
全体は7%アップ、部長クラスでは、13%アップしております。営業職の昇給率が高い要因としては、以下のことが考えられます。
①人材確保・維持
営業職は弊社の求人数の中でも最もご依頼数の多い職種です。スタッフが退職してしまうと、採用・教育コストなど多額の出費が見込まれます。優秀な人材を確保・維持するためには、日系の昇給率の相場を把握し、平均値を上げている会社が多いのではないでしょうか。
②評価がしやすい
営業は定量の評価がしやすいポジションであるため、年度考課時に目標設定の数字と照らし合わせ、昇給させやすいのではないでしょうか。
それでは、人事職はどうでしょうか。
部長クラスは営業職と引けを取らない昇給率ですが、全体の年収総額は営業職とは異なり、昨年比が1%アップに留まりました。人事職は営業職より年収が約30%低いにも関わらず、昇給率が低い(ほぼ横ばい)でした。職種に応じて差が出てくるのは、当然かもしれませんが、人事の昇給率は低いのはなぜでしょうか。以下の点が、人事職の昇給率の横ばいになっている要因ではないかと考えられます。
①管理部門のコスト削減
管理部のコストを下げることによって、利益確保を実施していく。人事職の日々の業務である採用や教育研修・給与計算・社内異動(転勤・異動・昇進・降格・退職・解雇)などの業務については、ルーティーン業務として捉え、営業職と比較すると、力をいれていない可能性がある。
②KPI設定の不十分により評価がしづらい
人事職の評価が定性評価の内容ばかりになってはいないでしょうか。年度考課時に、目標設定が、定量評価内容が少なく定性評価基準の内容ばかりで上げにくくなっている可能性がある。
管理部門はコスト削減や評価しづらい職種だとは思います。また、代替の効くポジションと思われがちですので、コストを削減される企業が多いのではないでしょうか。
だた一方で人事とは、プロジェクトを立ち上げ、ゴールを明確にして人を巻き込んでいくプロジェクトマネジメント力や尊厳を持って公正な処遇を実施できるピープルマネジメント力、社長が新しいビジネスをやりたいと言った時にビジネスモデルを理解し、それをコンピテンシーに置き換える能力、その必要なコンピテンシーを持つ人材を社内で見つけたり、養成したり、まったくいない場合は外部から探し出す、など企業の心臓部分です。
一度、自社人事の重要性を見直し、経営目線で人事を任せられるスタッフを採用する、もしくは教育するなど、人事に力を入れて、組織を強固にしてみるのはいかがでしょうか。
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