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2017 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.7
人事トレンド⑥ 2017年度調査より 採用のトレンド

2017/07/21 執筆者 :

前回は福利厚生制度の構築や直近のトレンドについて取り上げた。今回は、中国籍人材の世代別の特徴やキャリア意識の傾向、日系企業の採用トレンドを紹介する。

 

70后 80后 90后世代の特徴

中国では、生まれた世代別に人々を70后、80后、90后とよく表現する。「后」は「後」を意味しており、70后は1970年代生まれ、80后は1980年代生まれ、90后は1990年代生まれを指している。現在の就業者における各世代の割合は70后(47歳以下~)、80后(37歳以下~)が大部分を占めていることもあり、若手人材である90后(27歳以下~)の採用ニーズが高まりつつある状態である。

70后は、時代背景として文化大革命時代に幼少期を過ごし、中国教育部が定めた“211工程”や“985工程”と呼ばれる、重点投資大学のレベル向上・発展への取り組みを加速させた時代に身を置いている。よって、勤勉で責任感が強く、上昇志向が高い人材が多く存在すると言われている。

80后は、改革開放政策による一人っ子政策の真っ只中を生き、“小皇帝”や“小公主”と呼ばれる程、厚遇を受けて成長してきた人が多いとされる。特に都市部ではインターネットや携帯電話等の情報網が普及したことで、海外文化も柔軟に吸収し、個性や個人の生き方を大事にする人材が多いと言われる。

90后は、市場経済の発展と更なる情報網の広がりにより、高所得世帯が増加して海外留学を経験することが当たり前の環境で成長してきたため、80后よりもさらに特殊世代と揶揄されることも多い。

実際に日本語学科を卒業した中国籍人材の多くは、いわゆる英語人材と比べると安定志向で内向的な傾向があるといわれ、こうした傾向が仕事面に表れることもある。また、90后は仕事よりプライベートを重視する傾向が強く、80后は仕事とプライベートのメリハリを求めて、残業や非生産的な業務への関心が薄いことが多い。70后は、長時間労働も厭わず仕事に没頭する傾向があるといわれている。

 

人事部や経営層の抱える人材の悩み

  中国における人材活用の課題として、多くの企業が「短期離職」と「生産性の低下」を挙げている。具体的には、中間管理層の社外流出や、抜擢人材のパフォーマンスが期待値よりも低い、また配置の不適性による効率低下等の問題である。そもそも中国では、日本の正社員のような働き方はなく、有期雇用契約(1年~3年等)を更新して働くことが一般的である。若手世代であれば、ある程度の経験を積んだら自身のステップアップのために次の職場へ移っていくことが多く、中堅世代になるとより高いポジションや年収を求める傾向が強くなる。人材の能力と経験で給与が決まる中国では、自社の発展はもとより、個人の成長につながるキャリアステップが踏めるかどうかが解決の糸口に繋がるはずである。

以前の記事でも研修について触れたが、日系企業が得意とする従業員への教育研修の取り組み、特に誰もが通過点として受けてきたOJT(On-the-JOB Training)は、上記の人材活用の課題を解決するための施策として、中国でも生かせないだろうか。また、人事考課という大枠から脱却し、態度考課や能力考課で個々人の管理を行っていくことも求められてくるだろう。

 

時代に合わせた仕組みづくりを

現在、中国籍大学生の人気就職ランキングでは、中国系企業や欧米系企業でトップ30位までを占めており、日系企業は40位代以降にランクインしている状況である。地理的には中国と日本は近いものの、働く価値観や給与制度については中国企業と欧米企業との共通項が多く、依然中国人にとって欧米企業の方が馴染みやすいといえる。在中国日系企業は、自社が望む優秀な人材を採用していくためにも、人事制度の変更や処遇変更を視野に入れて対応していかなければいけない過渡期に入ってきているのではないだろうか。

 

(以上)


 

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