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2017 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.6
人事トレンド⑤ 2017年度調査より 福利厚生のトレンド

2017/06/20 執筆者 :

前回は総経理や副総経理職等のエグゼクティブの給与や採用トレンドを取り上げた。優秀な人材のリテンションには、給与に加え福利厚生制度の構築、またそれを社員に伝えるコミュニケーションが重要である。今回は、福利厚生のトレンドを紹介する。

 

食事手当の地域トレンド

福利厚生の中でも今回は「食事手当」と「通信手当」の調査結果をみていく。まず、食事手当は「あり」と回答した企業が50%と昨年(51%)と横ばいの結果となった。手当の平均値は毎月284元であった。

▼食事手当

図1

 

中国全土の食事手当の有無については上記の通り、昨年と変動がないものの、地域別にみると、少し結果が異なった。まず、上海では「あり」と回答したのは69.6%であり、昨年より約20%増えた。手当の平均値は毎月277元であった。次に、広州では「あり」と回答したのは43%であり、昨年とほぼ同等であった一方で平均値が昨年より約20元増加し、268元となった。最後に、深センについては40.8%が「あり」と回答し、手当の有無の割合は昨年と同等であったが、広州同様、平均値が増加した。毎月307元と昨年から45元増加という結果であった。こうした結果から、華東と華南地域で大きく分けてみると、華東では食事手当を付与する会社数が増加し、華南では導入企業数は変わらないものの平均値が高まった。

この背景には、華東地域の企業では評価制度やインセンティブ制度などを変えたいと考えても、特にジュニアスタッフ以上の給与額を上げるのはコストのインパクトが大きい。そこで、福利厚生などの手当を拡充することで、少しずつ人事制度の改革を図っている傾向が見受けられる。また、日本同様に中国でも給与と異なり、各種手当は非課税になるため、社員からするとこのような手当の拡充は喜ばれるケースが多い。加えて、インセンティブ制度の対象になりにくい人事や財務部のような管理部門の社員にとっては、福利厚生制度の充実はモチベーション向上に繋がる。

一方で、華南地域では工場が集積しており、新設が続く。例えば、自社の工場の隣に新しく工場が建つと各種処遇で数元でも高い企業に人は流れる。が、社員数が多い分企業も賃金を一斉に上げることには二の足を踏む。よって、福利厚生制度を通じて手当の金額を増加する施策を取っている企業が多いトレンドがある。

▼地域別の食事手当

上海

図2

広州

図3

深セン

図4

 

通信手当の地域トレンド

通信手当の有無については、昨年(79%)に対して69%が「あり」と回答した。また、貸与方法については、昨年は約半数が携帯電話であったのに対して、今年は30.2%であった。SIMカード貸与が16.8%に今年は増加していることから、企業が携帯電話ではなく、SIMカード貸与に切り替えていることが見受けられる。中国の携帯電話は、SIMカードが複数枚入るため、1台の機器で会社とプライベートを使い分けている社員が増加している。会社としても、固定費が削減でき、携帯電話の故障等のリスクも回避できる。これは日本以上にIT化が進んでいる中国の特徴といえる。

通信手当の地域別トレンドは、上海と広州は昨年と同等で、深センでは平均値を増加している。抜本的な人事制度改革の前に、離職率を下げるためにも通信手当の毎月の平均値を昨年比30元程度増加した285元であった。

▼通信手当 貸与方法

図5

▼地域別の通信手当

上海

図6

広州

図7

深セン

図8

トータルに人件費のコントロールを

「市場が成熟し、管理職以上の給与が高騰している」「社員数が多い」「社員の家族構成や志向が様々」等々、企業の組織の悩みは様々である。給与と福利厚生をセットで捉え、強弱をつけることで人件費を総合的にコントロールすることを薦める。そのためには、まず自社の組織や社員の傾向、求めていることをしっかり把握することがスタートラインとなる。それに基づき、処遇や昇給、人事評価制度の見直しを行うことで、優秀な社員の囲い込みが実現できると考える。

(以上)

 


 

毎年パソナが実施する給与情報・福利厚生分析レポートは、下記よりご参照くださいませ。

給与情報・福利厚生分析レポート