中国での転職・就職・求人情報サイト

上海・広州・深圳での転職ならパソナ中国へ



就労許可申請の手続、実務上の所見

2017/05/03 執筆者 :

駐在員の方々、そして出向元の本社の皆様を騒がせております就労許可制度の変更が41日から中国全国で本格的にスタートしました。昨年9月に制度のガイドラインが発表され、一部の地域では試験的に運用されてきた中で、なんとなく実務的な状況が垣間見られてきましたので、私が把握している中で、そのいくつかをご紹介したいと思います。申請につきまして4月からはすべてインターネットによる申請を基本としておりますが、承認された後、書類を窓口に提出する必要がありますし。許可のハードルについても地域行政によって難易度が微妙に異なっています。

 

①就労許可の更新手続

すでに就労許可を得ており、その更新を行う場合は、比較的審査が通りやすいようです。学歴証明書のような新規取得の場合には要する書類も、更新においては再提出する必要がありません。一方で、職位が変わるような場合、例えば副総経理から総経理に昇格する場合は別としても、逆に格下げになる場合などは、能力に問題ありとみなされ、不許可になるケースもあるようです。また、これは全般的に言えることですが、年齢が60歳を超える方についてはどの地域であっても投資者、法定代表、董事長という肩書がない場合については更新も極めて困難なようです。

 

②新規取得者

今回の制度変更によってもっとも手続きが煩雑なケースがこの新規に就労許可を申請する場合です。その中でも無犯罪証明の提出については、中国の在外公館でも証明申請は行えますが、概ね3か月程度を要してしまいますので、日本国内の警察署で証明を発行してもらい、中国に持って来る方が早いかも知れません。その場合であっても、在外公館にて認証を受ける必要があります。無犯罪証明については、前科があることを理由に、証明書を取得できない日本人も一定数出てきています。刑法に触れる犯罪をしたことに身に覚えがなくても、例えば運転中のスピード違反で赤切符(公道で30㎞オーバー、または高速道路で40㎞オーバー)を切られると罰金刑となり、前科がついてしまいます。また、最終学歴証明書についても同様に、在外公館にて認証を受けることになります。職務経歴書についても、日本での職務と中国に赴任してからの職務との間に関連性があることが前提のようで、あまりにも違いすぎる職務を担当することで申請してしまうと、受理されないか、或いは何度も書き直しを求められるという事例も出てきています。まったく職務経歴がない外国人、例えば新卒で赴任するとか、中国に留学し、そのまま就職するような現地採用者については就労許可の取得は困難となります。また、これは全国的な動きになりそうなのですが、いわゆるインビテーションの提出が必要なくなり、その点は簡素化されたようです。いずれにせよ、新規で申請を行う場合には、相応の時間、書類の再提出などによる煩雑を免れないようですので、余裕をもって申請を行った方がよさそうです。

 

③地域による差

大都市間の難易度としては、北京と広州、深圳はほぼ同等、一方で、外国人に優しいと思われていた上海市が案外難易度が高く、新規の申請については困難を極めています。B類の条件を満たしていたり、点数も60点を超えているのに不許可になるケースも少なからず出ています。また上海では、従来Mビザで入国し、現地でZビザに切り替える方法も認められていましたが、これが今後は出来なくなるようです。就労許可申請のための様々な条件が列記されていますが、その中でも「学歴」「年齢」「業務経験」の3つについては特に厳しく審査されているようです。