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2017 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.4
人事トレンド③ 2017年度調査より 新卒採用の動向

2017/04/19 執筆者 :

前回は賞与や従業員の増減に関するトレンドについて紹介した。日本では新年度を迎え、入社式を終えた日本本社も多いのではないか。今回は、中国の新卒採用の傾向や若手人材の教育研修について紹介する。

 

新卒と入社2年目の給与が逆転

2017年の大学の新卒学生の初任給は3,788元であった。また、上海にある大学(上海外国語大学、東華大学、華東政法大学、上海杉达学院等8大学)の日本語学科の新卒学生40名の希望手取り給与は4,366元であった。

日系企業においては、2016年の新卒給与の平均実績が手取り3,590元で、2016年の昇給率が6.8%であった。上述の通り、今年は希望手取り4,366元であったため、企業では新入社員と入社二年目の社員の給与が逆転する事態が起きている。これを受け、企業では優秀な若手社員のリテンション(定着)をいかに図るかが課題となっている。

このような課題を解決するために、企業では例えば、入社二年目の社員を対象に日本語研修を実施し、「語学手当」を付与することで給与ギャップを解消する制度を導入している企業が増えている。また、社員が独自で受けたオンライン研修や学費の一部を会社が負担する事例もある。あるいは、規模が大きい会社では、一定の日本語レベルを取得した社員に対して一時金を出しているケースも見受けられる。

新入社員には高い日本語力が求められない場合でも、今後マネジメント職に就くローカル社員については、日本人の上司や日本本社とのコミュニケーションが必要となることが多く、より高度な日本語力や日本人と円滑に仕事ができる異文化コミュニケーション力が求められる。そのため、日本語の研修を実施する必要性がある。一方で、日系企業でも公用語を英語にする動きも一部では見受けられるため、語学研修においては、日本語のみならず、英語力に関する各種人事制度や教育研修が導入されているケースもある。

 

企業を選ぶポイント

中国の新卒学生が就職先を選ぶ際、3つの観点で見ている。一つ目は、企業規模や知名度である。家族に対して示しが付くかどうか、特に国営や欧米企業ではない、日系企業となると就職先の規模や知名度を気にする学生が多い。二つ目の観点は、給与。そして三つ目が、福利厚生である。

ただし、中国の場合、この3つのポイントに加え、社会的な背景として理解しておきたいポイントが一つある。それは、学生の出身地や戸籍である。例えば、上海出身の方で不動産等、資産がある学生の場合は、仕事に対するやりがいや社会貢献ができるか等、仕事そのもの以外の何かを求める傾向にある。一方で、いわゆる一級都市以外の学生の場合、やはり給与を重要視することが多いと感じる。このような社会背景も採用活動においては、念頭に入れておきたい。

 

企業が実施している研修

▼従業員向け研修の実施実績

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中国に進出している日系企業1,313社のうち、約半数に当たる670社(51%)が研修を実施している。パソナが調査を開始した7年前は、「専門資格研修」「マナー研修」「営業研修」が同等の割合で実施されていたのに対し、最近では「管理職研修」が最も多い。また、研修予算の平均は、40,090元という結果だった。

 

▼今後、検討している研修内容

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最近では、現地化を図ろうと、ローカル社員を対象とした管理職研修のニーズが高まっている。実際の管理職に限らず、将来の幹部候補生を対象にマネジメント力を身に付ける研修を実施しているケースもある。研修を行う際、注意したいのはしっかりと自社の課題を把握することである。ビジネスマナーにしても、一般的な内容を実施するだけでは現場で自社の即戦力として社員が活躍できるわけではない。自社の課題や求める人物像を把握した上で研修内容を独自で作り、実施することを薦める。

また、日系企業の強みの一つとして「OJT」がある。日系企業では、新入社員が配属されると、部署の先輩がメンター役として、仕事はもちろん、職場や時には人生の相談役として新入社員を育てる文化がある。これは人材流動が活発な中国に対し、日本の終身雇用制度を背景に、社員を長期に渡り、また会社が社員を育てるという商習慣もあると思うが、中国においても新入社員が入社した際にはこのようなOJTやメンター制度は是非薦めたい。テクニカルスキルに関する座学の研修はもちろん、このような日々の職場における人を育てる力こそ、日系企業の強みの一つではないだろうか。

(以上)

 


 

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