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クライアントの昇格面談に寄せる想い

2017/04/05 執筆者 :

上海にある某日系飲料メーカーからここ6年ほど、毎年3月になると声をかけて頂く仕事があります。昇格候補者の昇格面談です。中国での経営理念の策定をお手伝いしたご縁から、毎年この時期に決まって面談の依頼を頂くようになりました。私は自分では決して人を見る目があるとは思っていないのですが、第三者の目からみて、候補者が管理職として相応しい人物かどうかを判断してもらいたい、というのがその日系企業の狙いのようです。もちろん私ひとりで面接を行うわけではなく、候補者の所属部門長、管理部長、営業部長に同席するような形です。候補者は多い年で56名、少なくとも34名はおります。ひとりにつき、大体3040分かけて面談を行い、100点満点の点数を付していきます。70点以上が合格です。とは言え自分でも結構シビアに点数をつけていると自覚していまして、ときには不合格者、つまり管理職として不適格と判断する候補者もいたりします。他の面談者も同じように点数を付けていくのですけど、結構、私が何点つけたかが重視されているようで、ほぼ私の判断どおりに昇格の是非について決定して頂いているようです。

 

そうなると、これは想像に難くないと思うのですが、昇格不適格と判断した社員は、その翌年に再度候補者として挙がってくることがあります。1年前のこととは言え、人間の記憶とはすばらしいもので、落とした社員に限って、その顔を覚えていたりするものです。そういう場面に出くわすと、お互いが妙な緊張感に包まれるものです。もし2年続けて昇格者から落としてしまうと、会社に居たたまれなくなってしまうだろうな、と、適性の判断以外の展開が脳裏をかすめたりします。実際に過去、1名だけこのような事例がありました。「2年目も不適格」。さすがにそうなると会社側も落とした理由を念入りに聞いてくるのも当然のことです。会社も悩むでしょうね。清原の判断で不合格にするのか、それとも会社の判断で合格にするのか。結局、その企業は私の判断を尊重してくれて、不合格の判断を行い、本人にも伝えて頂いたようです。ああ、これでこの社員は会社を辞めてしまうんだろうなと、私も依頼された任務とは言え、決していい気分でいられるわけではありません。

 

数日後、その後の顛末が気になり、その本人がその後どうなったのかを管理部長に電話で聞いてみることにしました。管理部長の話では、面談の結果を本人に伝え、なぜ昇格できなかったのかも丁寧に話して下さったそうです。意外なことに本人も結果を甘んじて受け、来年こそ昇格できるようにこの1年間、心機一転頑張るという返事があったそうです。私が胸をなでおろしたことは言うまでもありません。来年また面談で3回目、その彼と顔を合わせることになるでしょうが、来年も手心を加えずに面談するから、1年大きく成長して欲しいと、心からそう願ったものです。