中国での転職・就職・求人情報サイト

上海・広州・深圳での転職ならパソナ中国へ



2017 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.2
人事トレンド① 2017年度調査の速報値 昇給率

2017/02/21 執筆者 :

「人事トレンド2017」と題した本連載では、毎回中国に進出している日系企業の人事関連トピックスを紹介していく。「給与・処遇」「採用」「評価制度」「教育研修」「人事管理」といったテーマごとに、直近のトレンドや日系企業がよく抱える課題等を紹介する。第1回目となる本号では、この時期に企業の関心が高い「昇給率」について紹介する。

 

パソナは、中国に進出している日系企業の現地従業員の給与賞与・福利厚生に関する動向をまとめた「在中国日系企業における現地社員の給与・福利厚生に関する調査」の結果を毎年まとめている。 

調査概要

図1

◇16年度は前年度比1.09ポイント減

各企業の2016年度平均昇給率実績は6.79%であった。これは前年度実績の7.88%と比べると1.09ポイント減少した。

 

▼昇給率

図2

2017年度予測昇給率は6.34%という結果となった。ただし、年末に発表する予定の実績は6%を下回ると見込んでいる。2015年以降、予測値から実績値が約0.5%下がっている。つまり2017年予測昇給率6.34%から0.5%を引くと、5%後半になる。弊社給与調査を開始してから中国の国家統計局が発表しているGDPに対して、2016年までは日系の昇給率が上回る傾向にあった。しかし、過去2年の予測値と実績値の乖離と2017年昇給予測から考えると、2017年は中国のGDPよりも低い昇給率に初めて転換する年になる可能性が高い。

 

▼実績と予測の推移

図3

外資系コンサルティング会社が調査した中国の16年昇給実績は7.0%、17年昇給予測も7.0%となっており、日系企業に特化した弊社データより、外資系コンサルティング会社が収集したデータの方が高く率を示している。1%の昇給原資の差はさほど重要ではないと思われるかもしれないが、昇給原資をどのように配分しているかがポイントとなってくる。日系企業の平均的な昇給とは異なり、外資系企業はハイパフォーマー人材に対して、どれくらいの昇給原資を当てているかを考えることも、優秀な人材の確保を考える上で、重要ではないだろうか。

 

▼地域別昇給率

図4

次に、各地域の昇給率については、2016年実績は華北エリアが6.73%、華東が6.75%、華南が6.80%となった。17年予測は、華北が6.23%、華東が6.39%、華南が6.13%であった。

 

▼ポジション別昇給率

図5

また、ポジション別昇給率の2017年予測は一般スタッフ6.73%、係長/リーダー6.16%、課長/マネジャー5.64%、部長以上4.90%という結果となった。

 

◇中国のマーケットを知る

人事戦略を構築する上で人事担当者は「なぜ自社は中国に進出しているのか。中国で何を成し遂げたいのか。どのようなビジネスを創っていくのか」を日本本社や総経理と密にコミュニケーションを取り、会社の事業戦略を改めて理解することが非常に重要だ。そうしたことを踏まえた上で、①どのような人材を採用するか②どういった給与制度を設けるか③どんな教育研修を実施していくか―といった戦略を練ることが大切になってくる。そして、中国というマーケットで戦っていくためには、中国企業やグローバル企業、そしてローカル人材の実情を知り、中国で運用しやすいように、日本の人事制度ではない中国のオリジナルの制度設計が不可欠かもしれない。中国でビジネスをするということは、中国のルールを理解して中国のルールで勝負していかなければならないことを意味する。日本のやり方を押し通そうとすれば、勝ち続けることは相当な労苦が生じるに違いない。

中国経済の成長率が低下したと言われるが、国別GDP成長率は14位(米国101位、日本161位)。経済大国2位の中国ではさらなる成長が見込めると感じる。ここで成功すれば、ASEANでの成功パターンもつかめるかもしれない。中国で悪戦苦闘しながらビジネスを継続し続けることは決して無駄ではないのだ。

(以上)

 


 

毎年パソナが実施する給与情報・福利厚生分析レポートは、下記よりご参照くださいませ。

給与情報・福利厚生分析レポート