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定年年齢に達した従業員の労災保険

2016/05/30 執筆者 :

法定定年年齢に達した従業員(以下は「高齢雇用者」と略称)が勤務中に事故傷害を負った場合、どのように賠償処理するかについての紛争を最近よく耳にします。今回は、高齢雇用者の労災認定について取り上げます。

 

高齢雇用者を雇用する期間中に事故傷害を負った場合、労災賠償として処理するか、または人身損害賠償として処理するかについては、既存の法律が完備されていないために法律適用が明確に定められていません。過去の判例によれば、各地域の裁判所の法律見解が不一致で、処理結果が異なるケースが多発しています。

 

状況① 労災認定されて、労災待遇を受ける。

一部の地域の社会保険部門は、『最高人民法院行政審判庭より法定定年年齢を超過した出稼ぎ労働者が勤務原因で傷害を負った、または死亡した場合に「工傷保険条例」に適用されるか否かの指示に関する回答((2010)行他字第10号)』に基づいて労災を認定し、司法機関もこの結果に基づいて処理を行う。

 

状況② 人身損害賠償に関する民事訴訟の提起

出稼ぎ労働者にとっては、労災認定手続きの煩雑さなどが問題、また地方の社会保険部門は、高齢雇用者が労災保険加入不可と決めて、労災認定を拒否する理由で『侵権責任法』及び『最高人民法院の人身損害賠償事件を審理する際の法律適用に関する若干問題についての解釈』に基づいて人身損害賠償に関する民事訴訟として提起するケースもあった。

 

正銘見解

労災認定も人身損害賠償も高齢雇用者を救済するという立法目的が達成できます。ただし、労災認定と人身損害賠償の基準が異なるので、法律適用の不一致で法定定年年齢に達した従業員の権利を損なうケースも多発しています。こういった問題を解決し、『労災保険条例』をより一層明確にし、徹底的に執行するため、2016328日に人的資源・社会保険部より『「労災保険条例」の執行についての若干問題に関する意見(二)』(以下は、「意見(二)と略称」)を公表しました。

 

意見(二)の抜粋

第二条 法定定年年齢に達し、又は超過しても定年退職手続を行わず、又は法に従い都市部従業員の基本養老保険待遇を享受できず、元の雇用単位で継続的に勤務する期間中に事故傷害を負ったり、又は職業病にかかったりした場合、雇用単位が法に従い労災保険責任を負わなければならない。

雇用単位は、法定定年年齢に達した、超過した、又は都市部従業員の基本養老保険待遇を享受している人員を雇用し、雇用期間の中に工作の原因で事故傷害を負ったり、又は職業病にかかったりした場合、雇用単位がプロジェクトに関わる保険加入等の方式に基づき労災保険料を納付する場合、『労災保険条例』を適用しなければならない。

 

上記意見の発表により高齢雇用者が労災認定されるかどうかが明確になったが、実務上では、地方の社会保険部門の規定よれば、高齢雇用者が労災保険に加入できないため、労災認定されても、関連賠償費用は、雇用単位が負担します。従って、正銘の意見としては、高齢雇用者を採用する場合、関連労災リスクを低減するため、できるだけ商業保険に加入することをお勧めします。