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「履歴書と採用面接」
≪ポイント1 採用編≫ その2.

2015/09/28 執筆者 :

【企業が抱える問題】

☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、営業部アシスタント陳さんの退職を受け、採用活動を開始。陳さんが試用期間内に辞職したこともあって、今度こそは、長く働いてもらえる人材を採用したいと力が入る山田部長ですが・・・。

 

【こんなカタチで解決しています】

山田営業部長:ポイントさん、採用の要点、面接の技とか、ずばり教えて下さいよ!

ポイントさん:それでは、まず、候補者の履歴書をよ~く読まれましたか?

山田営業部長:一応目は通しました。でも、日本の履歴書と形式が全くちがいますよね。もちろん英語で表示されている、そして、担当職務の詳細を書いてあるんですね。

ポイントさん:転職活動において履歴書は、とっても大切です。最初に書類選考で落とされてしまっては、全くお話になりません。

山田営業部長:そりゃそうだ。

ポイントさん:でもその前に、香港でキャリアを伸ばすためには、自分の履歴書を汚すような転職はできないのです。ですから、給与額も気になりますが、それと同じぐらい役職名(タイトル)にも神経を使います。大卒なので、秘書やアシスタントといった名称は避けて欲しいという人もいます。

山田営業部長:はあ…。履歴書に書いて形が付くようなタイトルでないと転職の意味が無いのですね。

ポイントさん:そのとおりです。履歴書には、学歴や成績、社会人になって参加したコース、取得したライセンス、そして職歴の詳細はもちろんのこと、しっかり書き込んでいます。

山田営業部長:なんだか、読むのがめんどうじゃないですか?百聞は一見にしかず。履歴書を読んでいろいろ想像するよりも面接で直接聞いてみたらいいでしょ。

ポイントさん:履歴書の読み込みをせずに採用面接というのは、お勧めしません。特に管理者が面接される場合には、人事部の面接でも会社の説明会でもありません。候補者が適材であるかを見抜くために広く質問いただきたい。それには、候補者についての事前情報を履歴書から読み取り、興味をもってできるだけ多くの質問をされるのが、会社から礼儀ではないでしょうか。

山田営業部長:なるほど。お互いの時間を割いて面接しているんだから、誠心誠意面接するように心がけなきゃね。でも、僕は何よりこの会社で長く働いてくれるか?って聞くんです。安定して人材を確保したいので。

ポイントさん:“どれだけ長く働けるか?”と聞かれたいのですか?

山田営業部長:ダメ?

ポイントさん:面接でこのような聞き方をされると、皆、一応話を合わせてきませんか?もちろん、出来るだけ長く働きたい!と。

山田営業部長:そう言えば、2ヶ月で辞めてしまう陳さんも、私が面接でそう聞いたら、出来るだけ長く勤めたいって答えていました。

ポイントさん:それは、このように将来に向けて漠然としている質問は、面接では意味を成さないということです。

将来の夢やビジョンというのは、日本の新卒社員の面接でない限り、香港での中途採用には不向きな質問ですね。香港の人は、極めて現実的な考え方をしていますから、将来のことは入社してみないと判らない…と考えています。

ポイントさん:また、質問の裏を読んでしまい、長期的に勤務すれば何か手当てが出たりするのかな?と考えてしまうかもしれません。

山田営業部長:ああ、なるほど。そういうことですか!確かに将来のビジョンについて質問した時、キョトンとする人がいました!

ポイントさん:まずは“履歴書を読み取る”訓練をしましょう。いろんなことが見えてきます。

山田営業部長:はあ…

ポイントさん:まず、履歴書の内容は、キャリアのフレームと考えましょう。これをベースに面接では、その中身を埋めていきます。

山田営業部長:はい。

ポイントさん:今までの会社でどんな役割を果たしたのか、経験談も加えて聞いていきます。そして、候補者の実経験、失敗例、成功例などを話してもらいます。

山田営業部長:ええ。

ポイントさん:お話の中から、仕事に対する思考と行動のパターンを過去の事実から理解していきます。

山田営業部長:そして!

ポイントさん:それをここの組織にはめ込んだ折、役割分担や他の社員との折り合いについて想像してみます。

山田営業部長:なるほど!

ポイントさん:それから山田部長にとって、“長く勤めてくれるか?”という点が重要でしたよね?

山田営業部長:そうそう!

ポイントさん:これは裏から尋ねます。

山田営業部長:裏から?

ポイントさん:今までの勤務先を辞めた理由を尋ねるんです。

山田営業部長:ほお!そんなこと聞いても良いんですか?

ポイントさん:もちろんです!勤務期間は履歴書に書いてあります。でも、どんな理由で辞めたのか書いていないことが多いですから、この点については、一社ごとの理由を聞いていきましょう。

山田営業部長:履歴書の信頼性は高いのでしょうか?裏付けは取らなくても大丈夫?

ポイントさん:人事部では、応募者から履歴書の他に、学歴証明、収入証明等を見せてもらい必要によってはコピーを提出してもらいます。また、今までの勤務先から在籍期間や上司や人事部から「推薦状」(Reference Letter)をもらってきてもらうことが一般的です。これは、何れの企業からもリクエストされることが多いので、履歴書は正確性が第一になります。

山田営業部長:なるほど!!

ポイントさん:面接で過去の職務経験や転職の経緯を聞くことにより、候補者の思考・行動パターンを掴んでいきます。

山田営業部長:また同じような理由でこの会社も辞めてしまう可能性があるかもしれない…ということですね。

ポイントさん:そのとおりです。過去の経験と考え方を自分の言葉で説明してもらい、候補者の思考・行動パターンを読み取ることができれば、将来についての夢や理想を聞いて立派な返答をもらうより、実際の判断基準に繋がる情報が得られることになります。

山田営業部長:なんだか僕の“禁煙宣言”みたいですね。何度も宣言して、何度も止められない…

ポイントさん:山田部長の思考・行動パターンは、面接しなくても社員なら皆周知していますよ。

山田営業部長:ええっ?僕ってそんなに判り易い?

ポイントさん:はい。山田部長ほど判り易い方はめったにいらっしゃらないです。さて、この続きは明日に致しましょうか?

山田営業部長:ああ、知っていますよ!ポイントさんは絶対残業しないという行動パターンですからね!

ポイントさん:いやいや、どうぞ誤解がありませんように。それは、私の行動パターンではありません。ウチの奥さんの思考パターンが、私に残業させないというだけです!