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中国の産業構造転換の必要性と世界的なプレゼンス

2015/09/19 執筆者 :

購買担当者指数(PMI:Purchasing Manager’s Index)という、景気状況を計る指標があります。製造業やサービス業の購買担当者に聞き取りを行い、新規受注・生産高・受注残・価格・雇用・購買数量などの指数に一定の比率を乗じ、算出する指数です。景気がよくなると思う人が多ければ指数が上がり、景気が悪くなると思う人が多ければ指数が下がるというもので、世界で用いられている代表的な経済指標のひとつです。PMIでは、景況感の改善と悪化の分岐点になるのが50です。50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退を示しています。中国では、経済規模を計るGDPの集計は各省・市から上がってくる報告の積み上げで、恣意的な要素が含まれてしまいますと、GDPの実態から大きく乖離してしまう惧れを含んでいます。GDPよりはむしろこのPMIの方が信頼できる数値として、PMIの変動に注目しているアナリストは少なくありません。

中国のPMIは、成長のスピードが速い時期には常に50を超えており、それこそ破竹の勢いだったのですが、2015年に入ってからはこのスピードにもブレーキがかかってきました。今年の1月からPMIは50を切ることが多くなり、ようやく50を超えても50.1とか50.2というギリギリのラインになってきています。8月のPMIは49.7%で、前月に比べて0.3ポイント低下し、既に臨界点を下回ってしまっています。企業の規模別にみると、大手企業のPMIは49.9%で、前月比0.1ポイント低下し、今年初めて臨界点を割りました。中規模企業のPMIは49.8%で前月比0.2ポイント低下し、小規模企業のPMIは48.1%と前月比から1.2ポイント上昇し、引き続き縮小傾向にあるものの、小規模企業の景気は少しずつ上向きにあるようです。

指数区分から見ると、製造業PMIを構成する5つの指数区分の中で、生産指数とサプライヤー配送時間指数が引き続き臨界点を上回った一方、新規受注指数、従業員指数、原材料在庫指数は臨界点を大きく下回っているようです。生産指数は51.7%で前月比0.7ポイント低下し、生産拡大のペースは鈍化し続けていることがこの数値からもみることができます。新規受注指数につきましてもPMI=49.7%と前月比0.2ポイント低下し、2カ月連続で臨界点以下にあり、製造業の市場ニーズが持続的に減少しているようです。

かつては「世界の工場」として製造業が経済成長の主要な部分を牽引してきた中国ですが、すでに生産拠点としての役割は幕を閉じようとしています。一方で近年では「世界の市場」としてグローバリズムの中でその役割の転換を図ってきておりますが、GDPに占める内需比率は相変わらず40%足らずという、小さなサイズでしかありません。製造業が落ち、消費は伸びず、さらに純輸出の伸びも鈍化してきている中で、今後中国はどのような改革を進めていくのか、経済大国としての世界的なプレゼンスを維持していくためには、まさにそれが求められているように思われます。