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日本本社は中国人事とどう向き合うべきか?
日本本社が中国人事を管理する上でのスタンスとそのポイント2

2015/09/05 執筆者 :

みなさん、こんにちは。

前回は赴任者の内示から赴任への期間の短期化や、その中で日本本社は
「会社の代表として企業理念や経営理念、今の経営方針を語り実践する」
ということをミッションとして与えて中国に送り出すべきだ、ということをお伝えしました。

今回はなぜそのようなミッションを与えるのかということをお伝えいたします。

中国現地のローカルスタッフにとっては、赴任者本人そして日本本社が思っている以上に、
赴任者が日本から送り込まれた管理監督者であり、「日本本社の代表」として赴任者を扱います。
もっと言えば、その赴任者を通して日本本社の姿勢を見定めていると言ってもよいかもしれません。

私が2012年に赴任した際、3週間弱で前任地の愛知県と中国法人のある上海、
そして日本の東京本社を出張で往来、北京に赴任することとなりました。
語学はおろか中国の現地事情等も全くわからず赴任しました。
ですので、最初は自分が現地に引っ越したり生活に慣れるのに精一杯でした。

しかし、現地のローカルスタッフは、「日本本社の人間がやってくる」ということで、
「本社は何故に北京に日本人赴任者を配置したのか?」「何か本社は意図を持っているのではないか?」
という「本社」が主語で私を扱い、その人となりを見定めていたようです。
「何であなたは日本本社から派遣されたのですか?監視のため?」
とストレートにぶつけられたこともあります。

特に弊社の北京拠点は本社機能ではなくあくまでも「分公司(支店)」でしたので、
なおさらそのように思ったのかもしれません。
中には当初は「自分たちの現在の仕事のやり方を変えさすまい」「日本本社の意図通りには動かすまい」
という雰囲気すら感じられ、都度都度抵抗されたこともしばしばありました。

今思えば中国人特有の自己防衛気質(こちらは触れられる機会があれば改めてお伝えします)なのかと思いますが、
赴任直後何も中国を知らない私には、単なる抵抗心としか思いませんでした。

つまり、日本本社での勤務経験のない10数年愛知県だけで勤務してきた社員であっても、
3週間弱で急に赴任をしても、中国現地ローカルスタッフからしたら関係ありません。
彼らからするとどんな事情であれば赴任者は「本社の代表」には変わりはないのです。

「こんな短期間で赴任なんて大変だ」
「なんで中国なんて興味がないのに赴任させられたんだろう・・・」
こんな発言を中国人の前で話そうものなら、彼らの仕事へのモチベーション低下はもちろん
その後の信頼関係の構築にも大いなる悪影響を与えます。

逆に自社を語れる人材として自社の理念の下で行動しているリーダーには
リーダーシップを感じてくれやすいと感じます。
赴任の第一段階においてローカルスタッフが一度共感さえしてくれれば
信頼関係の構築がよりしやすくなると思います。

赴任当初の赴任者の判断軸として、現地ローカルスタッフへのメッセージとして、
「本社の代表」である赴任者に自社を語り実践するミッションをまずはきっちり与える。
どうしてもビジネスにフォーカスしてしまいがちですが、敢えて日本本国から異国の地に
人材を送るというのは、そのような大前提があってしかるべきかと思います。

赴任者にとっても、日本で会社の一員として仕事をしていれば、
どのような方向で会社が向かっているのかは日々の業務の中で理解されているはずです。
1ヶ月で中国語を習得させるより、管理職経験がない中でマネジメントスキルを学ばせることより、
よっぽど簡単ではありませんか?

ただ、赴任者は日本で働いている以上にそれを意識し、行動していくことが必要です。
それを短期間で赴任準備する赴任者に対して自らの気づきで求めるのではなく、
送り出す本社側自身も強く、想いを持ってそのミッションを伝えることが大切と考えます。
赴任に際しての忘れられがちな大前提、
「あなたは本社の代表です、だから誇りを持って当社のことを伝えてきてくれ!」、
そんなシンプルなメッセージを、赴任者へのミッションとして改めてきちんと伝えてみてはいかがでしょうか?