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「退職願いを突然受け取ったら」
ポイント1 採用編

2015/09/05 執筆者 :

【企業が抱える問題】

香港では、春は新組織の編成で、また秋には、業務調整で採用件数が急増することがあります。これは、年末や旧正月前のダブルペイや、決算結果を待ったボーナスの支給のタイミングにも一致しています。香港では、会社に不満があっても無くても、常により良い仕事情報を収集している社員たちは、とりわけ、ダブルペイ・ボーナス支給・評価・昇給といった人事一連の流れが終わる春先には、“転職たけなわ”となって動き出します。☆P商事(香港)営業所の山田営業部長は、入社して2カ月を過ぎたばかりの営業部アシスタントの陳さんから「退職願」を提出されて困っています。

 

【こんなカタチで解決しています】

山田営業部長:忙しい時に、陳さんが辞表を出してきまして。こんな辞職願い一枚で簡単に辞められちゃうんだね・・・

ポイントさん:それは、香港の雇用関係の特徴です。シンプルでしょ!

山田営業部長:シンプル以外の何者でもないね。でも、正社員の雇用関係がそんな簡単でいいんですかね?

ポイントさん:香港法例の雇用条例では“試用期間の有無にかかわらず、勤務第1ヶ月目における雇用契約終止のための通知期間は“無し”と定めています。今日口頭で言ってくれば、明日から辞められます。

山田営業部長:陳さんは入社2ヶ月目だけど?

ポイントさん: 2ヶ月目からは“7日”を下回らない期間との定めです。会社が自社で通知期間の規定を定めておきます。☆P商事では、通知期間を7日間、または、7日分の給与弁償で雇用契約を終止できる・・・と明記してあります。

山田営業部長:でも、7日では、実際は後任も見つからないよね。

ポイントさん:それは、難しいですね。実際は、5稼働日ですしね。これもフェアーな関係ですから。

山田営業部長:フェアーな関係?

ポイントさん:はい。☆P商事では、試用期間を3ヶ月と定めていますが、この期間は本当に大切で、採用時に期待した能力を持ち合わせているか、試用期間内に見定めなければなりません。

山田営業部長:見定めるって言われても、3 ヶ月では、実力が発揮できないのでは・・・とか、そんなに厳しくできないかも・・・

ポイントさん:しかし、期待していたパフォーマンスを発揮していないと判断された場合、山田営業部長ならどうされますか?

山田営業部長:早めに判断して辞めてもらった方がお互い幸せかも知れないけどねぇ…

ポイントさん:本当に厳しいですが、香港ではこの期間に見定めます。そこで、この短い通知期間、または通知期間分の給与で会社を辞めてもらいます。

山田営業部長:陳さんは想像以上に優秀な社員でしたけど、この会社には、古株の高さんがいて、陳さんが思っていたように働きやすく無かったらしい。

ポイントさん:そうでしたか。

山田営業部長:でも、もし、新入社員が優秀ではなかった場合、会社からも同じように短い通知期間で辞めてもらえるわけだからね…

ポイントさん:そういうことです。

山田営業部長:そうそう、それから、陳さんには、2週間の日本研修へも参加させていて、経費もかけていたのに帰ってきたら辞められてしまって…。

ポイントさん:それも良くあることかもしれません。

山田営業部長:例えば海外研修を受けさせる場合、条件付けはできるんでしょうか?例えば参加したら1年は辞められないといった…

ポイントさん:会社で事前に研修参加の規制を設定しておき、研修参加に当たり、覚書を取り交わしておくことが必要でしたね。

山田営業部長:覚書…

ポイントさん:例えば、研修終了後、離職できない一定期間を設定したり、辞職を申し出た場合には、研修経費を返金してもらうといった条件などが考えられます。

山田営業部長:そうか!

ポイントさん:雇用契約の終止についても、研修参加の条件についても、最初に会社からの条件を決めて書面化しておく、そして、きちんと社員にも納得させ“契約”しておくことが肝心です。

山田営業部長:そうだったんだ!香港の『雇用条例』とやらには書いてないんだ?!

ポイントさん:雇用条例は、最低基準を示してはいます。しかし、実際の管理上で必要な内容については、会社の管理者、採用者立場で想像豊かにまとめる作業が必要です。

山田営業部長:そうだよね、ここ香港は、契約社会だものね!さあ、気持ちを切り替えて、陳さんより適任を採用する

ぞぉ~!!

ポイントさん:さあ、これで、山田営業部長の“気合い”が入りましたね!!