2015 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.3
在中国における日系企業の2015年昇給賞与情報
2014年の中国経済は、成長率が前年比7.4%の伸びとなり、目標だった7.5%には届かなかったもの、ほぼ目標達成の数値と言える。ただ、7.4%という数字は1990年以降の成長率としては最も低く。中国政府が公表している「新常態」への移行が見て取れる。新常態とはこれまでの高度成長から安定成長へと成長ステージが転換することを指している。2015年の成長率の目標は何%になるのだろうか、3月に開催する全国人民代表大会における政府工作報告の動向を日系企業のみならず全世界が注視している。
中国でビジネスを行う日系企業にとっては、新常態に入ることは大きな悩みではある。また、春節前後に行われる定期昇給とボーナスの支給額をどのように設定するかも毎年頭を悩ませているに違いない。昇給や賞与は各社の賃金規定や人事考課に応じて決めることが一般的なので、他社の昇給率賞与支給額にとらわれて右往左往し、結果コア人材が辞職することになっては本末転倒ではある。とはいうものの、日系企業がどの程度の昇給・賞与支給額であるかは知りたいところであろう。パソナ中国では、1998年から現在まで、 在中国の日系企業を対象に、職種・キャリア別の給与水準やボーナス・2014年昇給率、福利厚生等を行っている。一つの参考として、日系企業の水準をご覧いただきたい。今回は2011年から2015年昇給予測を調査したデータを公表する。
調査概要
調査対象: 在中国日系企業
調査方法: オンライン調査
調査期間: 2014 年8 月25 日~ 9 月30 日
有効回答数: 1,214 社
調査実施: Pasona 上海/ Pasona 蘇州/Pasona 北京/Pasona 広州/Pasona 深セン
※ 下記2011 年~ 2014 年実績数値は、各年の調査結果を記載。
賞与については、2カ月分が相場で毎年推移している。今後も賞与額については、あまり大きな変動はないだろう。賞与の支給回数は、1回/年(58.3%)がトップで、2回/年(39.2%)、3回以上/年(2.5%)という結果だ。賞与の性質は、定額固定を採用している企業が約15%で、業績連動性を採用している企業は、約85%であった。
賃金コストが上昇することによって、従業員一人ひとりに求められる質が極めて重要になった中国で、今後どのようにコア人材を採用・育成・定着させるか、同時に報酬・評価・等級制度を構築していくか、日本人マネジメント層にとって重要な局面に入ったと言えるのではないだろうか。