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「経済補償金」に関するQ&A
~人事コンサルタント 宮城紀生(WAYA)の回答~

2014/11/30 執筆者 :

今回は労働契約期間満了における経済補償金の支払いに関して、実際に質問を受けた

事例を基にQ&Aの形で回答させて頂きます。

 

Q:残業代は経済補償金の計算基数に含まれるのでしょうか?

A:含まれます。残業代に加えて、交通費手当や出張手当も基数に含む事になっています。

法規定の不明確さが原因で、当初から問題になっていましたが、現在では既成事実として

明確になったのです。ただし、企業が従業員のために納めた社会保険料や住宅積立金は

除外できます。

 

Q:労働契約の解除における従業員へ支払う経済補償金に対して、会社は個人所得税の

源泉納税義務は発生するのでしょうか?

A:企業所在地の地方政府が規定する前年度の従業員平均給与の3倍までの補償金は

個人所得税免除の対象になります。その金額を超える分に対しては通常の給与所得として

企業の源泉控除が必要になります。ただし、金額が大きい場合は年1回の賞与と同様に

月割り所得として税率が優遇されます。

 

Q:試用期間中の従業員と契約解除したいのですが、経済補償金の支払い義務が発生すると

知人経営者にアドバイスされましたが、何か良い方法は無いでしょうか?

A:採用条件に合致しないなどの明確な証明ができれば支払い義務は発生しません。ただし、

企業には雇用に向けた努力(教育や指導など)が要求されます。それらを怠ったとみな

されると、会社都合の契約解除になり補償金支払い義務が発生するので注意が必要です。

その他のアドバイスとしてはいろいろな手法もありますが、労働契約書以外に重要な社内規定

内容をチェックすることです。この規定内容をおろそかにしてあると、その他の労働争議に

関する火種も潜むことになるので、法的にも実務的にも専門家の意見を取り入れて、規定内容

をみなおし準備することをお勧めします。

 

中国においては、法律と実務は異なる、と言うような日本人には理解できない実情があります。

このポイントを出資企業である日本の親会社は、現地法人に対するカントリーリスクとして理解

しなければならないですね。仮に法的装備を万全に行い、勝利を確信して法定争議に持ち込むにも

多くの費用や労力が必要です。また、期間も長くかかることも想定されます。

その事をマネージメントの観点から捉えると自ずと判断ができると思います。

 

WAYAコンサルティング宮城紀生