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中国の人事制度・労務管理

中国の新たな農業生産と地方の活性化

先日、私の自宅に、古くからの友人夫婦が訪ねて来ました。3日の休みがとれたので、上海まで遊びに来たそうです。彼は江西省の九江市の出身です。九江市は、省都である南昌市に次いで江西省の二番目の都市ではありますが、実際は九江市の中心部からさらに車で1時間半ほど行った先の、のどかな農村部の出自です。

もともと非常に義理堅い男ではありましたが、せっかく上海まで来ているのだから遠慮することはないのですが、実家から土産を持参してやってきました。「土特産(特産品)」と書かれた紙袋の中には、たいそう立派な木箱が入っています。開けてごらん、と言われて、木箱の蝶つがいを捻ると、中には手のひらに収まるくらいのガラス瓶が2つ、並んで入っていて、ラベルには、「江西紅茶」と書かれています。

これはどこで栽培している紅茶なのかと聞くと、自分の実家で数年前から栽培を始めたとのこと。私も彼の自宅には何度か遊びに行ったことがありますが、これぞ中国の農村風景とも言えるようなところで、当時は牛に犂(すき)を引かせて農地を耕しているようなところでしたから、紅茶の栽培を始めたと聞いて、思わず、へえーという言葉が口を突いて出てしまいました。中国と言えば緑茶や烏龍茶が知られていますが、実は古くから紅茶の栽培も有名で、17世紀中頃には福建省で作られた「小種紅茶」が中国紅茶の原型と言われています。当時、ヨーロッパでの人気は非常に高く、中国紅茶の産地は雲南、四川、江西、浙江、湖南などの各省に広がってゆきます。代表的な中国紅茶に、世界3大紅茶の1つである「祁門紅茶」があります。

このように、もともと江西省は紅茶の産地ではあったようなのですが、地方政府はさらに助成金を交付するなどの方策によって、一帯を地場産業のハブにしようとしているらしいのですが、この動きは江西省に限らず、中国の各地、農村部に対しては同様の政策を試みているようです。国民の可処分所得の増加に伴い、沿岸の都市部はずいぶん豊かになった一方で、都市と農村との所得格差が中国では社会問題のひとつとして取り上げられ続けてきました。そのため近年では、政府は農村に住む国民の豊かさの向上に軸足を置き始め、その結果としてそれぞれの地方都市や農村の、特色のある特産品の栽培と品種改良が進められてきています。江西省の紅茶も同じく、今や多くの種類のものが国内はもちろんのこと、海外へも輸出され始めているようです。地方の活性化は我が国の課題でもありますが、このようにそれぞれの地方の特性を検証し、独自性のある産業を伸ばしていきながら、雇用の拡大と所得の増加を試みる手法は見習っていきたいと思う次第です。

 

コラムニスト情報

(株)名南経営コンサルティング 清原 学 海外人事労務チーム シニアコンサルタント

1961年兵庫県生まれ。学習院大学経済学科卒。中国の人事労務事情、中国労働関連法の第一人者。共同通信社、AT&Tにて勤務後、上海・大連・無錫・ホーチミン…  続きはこちら...

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