中国での転職・就職・求人情報サイト

上海・広州・深圳での転職ならパソナ中国へ



昇給・賞与・福利厚生

2018 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.3
人事トレンド③ 2018年度調査より 華南地区における人事労務の課題

 

「人事トレンド2018」と題した本連載では、毎回中国に進出している日系企業の人事関連トピックスを紹介している。第1回目では、昇給率について取り上げた。今回は日系企業の注目が集まる華南地区における人事労務の課題を紹介したい。

 

広州、深セン、香港をつなぐ「広深港高速鉄道」が2018年中に開通する予定だ。香港から深センまではわずか14分、広州まで48分という短時間で移動が可能になる。これを追い風に、香港から中国の華南地区までを含む「華南経済圏」の繋がりは今後さらに高まると思われる。

 

多くの日系企業は、香港と深センや広州に拠点を持ち、いずれかの拠点を統括拠点として経営している。そこで、課題となっているのが人事労務管理である。香港と中国では、人事労務制度や慣習、また給与トレンド等が異なる。一方で、拠点に関わらず社員はお互いの給与や評価について話す傾向にあるため、公平で透明性のある人事労務管理が重要である。

 

香港の給与トレンド

このように、中国と香港間で一定の社内規則は共通にすると同時に、地域ごとの相場を捉えて給与・昇給設定を行う必要がある。そこでまず、香港の最新トレンドを考察する。香港の失業率は、SARS発生後の2004年には6.8%、リーマンショック後の2009年には5.3%と高騰した。これに伴い、消費者物価指数(CPI)が低下し、結果、昇給率も低下した。2011年以降は失業率が3%台で推移し、CPI4%前後を記録している。

 

▼香港の失業率とCPI(香港統計局)

香港の失業率とCPI(香港統計局)_パソナ上海

 

香港における昇給は、日本のように社員の勤続年数や年齢を基準とした定期昇給の考えはなく、経済環境を反映した昇給が基本である。パソナは、香港に進出している日系企業の現地従業員の給与賞与・福利厚生に関する動向をまとめた「在香港日系企業における現地社員の給与・福利厚生に関する調査」の結果を毎年レポートしている。201712月に発表した最新の調査結果では、2017年度の平均昇給率が4.09%(実績)であった。また、本調査は20業種177社が回答しているが、90.4%が「昇給を実施」と回答。そして、2018年度昇給率の予測は3.87%(予測)という結果となり、95.3%の企業が「昇給を予定」と回答した。

 

華南地区との比較

香港の昇給率4.09%(実績)は、中国の華南地区と比較すると低い。パソナが中国に進出している日系企業の現地従業員の給与賞与・福利厚生に関する動向をまとめた結果、2017年の実績は、6.97%(実績)となった。これは中国全体の6.85%(実績)を上回っており、深センや広州等を含む華南地区の成長の勢いが伺える。

香港と華南地区では、ベースとなる給与の水準が異なるため、華南地区の昇給率が香港を上回るのは驚きではないと思う。しかし、深センや広州が引き続き6%から7%で上昇、また、強い経済成長を背景とした高い賞与が続けば、両地域の給与水準が近づく日は遠くない。

企業の香港及び華南地区の拠点の人材交流は活発になっている。その結果、企業が直面する人事労務の課題は多様化している。実際よく聞くのが賞与制度である。香港では、「ダブルペイ」という制度があり、ダブルペイと業績賞与の二本立てで社員に賞与を支給しているケースが少なくない。社員のパフォーマンスを考課して、会社の業績を元にしたいわゆるボーナスに加え、ダブルペイは社員の年収1カ月分を年末前に月給額と合わせて支給するもので、社員からは給与の一部として受け止められている。このようにダブルペイは、業績や社員のパフォーマンスにあまり左右されない類の収入で、その支給が保証されているケースが多い。

一方で、中国では基本的に業績や個人のパフォーマンスを基準とする賞与のみが一般的である。会社にとって、賞与は固定費ではなく変動性があるものである。このように異なる二つの賞与制度のもと、香港拠点の社員が深セン拠点で働いている場合には、社員同士に不公平感が生まれない配慮が必要となる。

また、休暇制度も課題の一つである。香港と中国では祝日が異なるため、どちらの祝日を導入するのか、また有給の扱い方等の整理が求められる。業務に支障がなく、誰もが納得するような制度設計に励んでいる企業が成功しているといえる。

 

状況把握と改善を

今後、中国と香港でのビジネスや人材交流がさらに活発になる中、企業の人事制度の公平性と透明性が鍵を握る。そのためには、まず香港及び華南地区のそれぞれの拠点の状況を把握し、見直すことがスタートラインである。昇格や昇給を比較的「人」に紐付いて実施している企業が多いのが実情ではないだろうか。まずは、それぞれの拠点で行っている業務のジョブ・ディスクリプション(職務内容)を作成することを勧める。これを元に、評価制度は場所問わず、統一すること。そして、昇給や賞与においては、地域の特徴や経済情勢を考慮したローカライズを行うことが有効的と考える。

(以上)

 


 

毎年パソナが実施する給与情報・福利厚生分析レポートは、下記よりご参照くださいませ。

給与情報・福利厚生分析レポート

 

 

コラムニスト情報

パソナ中国 深圳支店 大塚 涼右  支店長

パソナ中国華南地区営業マネージャー。2010年に米国ニューヨーク州立大学プラッツバーグ校を卒業後、パソナ米国法人・Pasona NA入社。ニューヨーク本社に営業と…  続きはこちら...

おすすめコラム

パソナが提供する
3つのソリューション

  • リクルーティングサービス
  • アウトソーシングサービス
  • コンサルティングサービス