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昇給・賞与・福利厚生

2017 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.9
人事トレンド⑧2017年度調査より 優秀人材に効くリテンション策とは

前回は企業の研修施策をはじめ、昨今増加している海外で実施する研修のトレンドについて紹介した。今回は、特に優秀な人材に長く勤めてもらい、モチベーションアップを図る効果的な施策の一つとして様々な福利厚生制度について取り上げる。

 

中国人は社員旅行が大好き?

 

年々給与相場は上昇を続けているが、多くの日系企業では給与水準を一気に上げるのは困難であるため、中国や欧米系企業と比較すると日系企業は給与面で劣ってしまうことが多い。一方、日系企業の福利厚生制度は手厚く、ローカル社員からもこの点は評価が高い。業績が好調な企業においても、昇給に充てられる原資には限りがあり、加えて日本本社の承認が必要なため大幅な昇給は難しい。そこで、従業員のリテンション(定着率)を高めようと、健康保険や有給休暇などの各種手当の充実を図っている。そしてこのような一般的な福利厚生に加えて、従業員のモチベーションを高めている施策をいくつか紹介したい。

 

ローカル社員は、日本でもかつてそうであったように、社員旅行や忘年会などの団体行動やイベントを実施すると喜ぶ傾向にある。会社の業績にも左右されるため、毎年実施していなくとも、例えば社員旅行には社員の家族まで参加を認めている企業もある。昨年、パソナ上海が実施した調査によると、社員旅行を「実施している」企業は全体の61.0%で、「検討中」が10.0%、「なし」が29.0%だった。また、実施している企業における一人当たりの予算は、最も多かったのが「501-1000元」(26.5%)であった。しかし、なかには4000元以上と回答した企業も17%近くあり、会社業績によっては社員旅行に多額の予算を充てている企業もある。

 

▼社員旅行 実施の有無

社員旅行

参考:2017 Salary Survey Report China (Pasona Shanghai)

 

▼会社負担 一人当たりの予算

会社負担予算

参考:2017 Salary Survey Report China (Pasona Shanghai)

 

企業によって、旅行先は様々で近場の日帰り旅行をはじめ、海外や日本へ旅行する企業も少なくない。ある専門商社では、今年度の売上が好調だったことを受け、社員一人当たり9000元の予算で東南アジアのリゾートへ行った例もある。会社としては人件費以外の項目で経費を使いながら、社員のモチベーション向上にも繋がるためお互いウィン・ウィンといえる。

 

一般的に、社員の参加率はかなり高く、家族の都合等で行けないなどよほどの理由がない限り、喜んで出席する。日頃の職場環境から離れ、上下関係や部門を越えてコミュニケーションが図れるため、チームワークを高める効果もある。もちろん日本人駐在員の方も参加することを勧める。言葉の壁があるとしても、他の従業員と同じ場所にいる、同じ経験をするという一体感が大事である。

 

円卓を囲んで一致団結

 

忘年会も社員にとって大切なイベントである。食事をするだけでなく、タブレット端末等の高額な景品を用意してゲーム大会を行ったり、五つ星の豪華なホテルの宴会場を貸し切るなど、各社華やかさを演出している。多くの場合、人事部が企画し、会社全体の行事として春節前、あるいは年末年始に実施している。

 

ある企業では、忘年会のような年間行事以外にも、部門や営業チームごとに懇親会の予算を部門長に与えている。月間目標の達成や大きなアカウント成約等の際には、メンバー全員で食事会を開いている。部門長の決済で行うことで、本人の責任感醸成や部門全体の団結が深まる。ちなみに働く女性が多い中国では、子育て中の女性社員も夜の食事会であっても積極的に参加する。

 

目に見える、公平な評価を

 

中国において、成績優秀者には徹底して、出来る限り多くの人の前で褒めちぎることが良しとされる。社員のモチベーションアップに繋がる。目標を達成した社員を(給与や賞与以外で)定期的に表彰し、現金ではなく商品券や人気商品を贈呈する企業もある。ある企業では、年間の成績優秀者に対して、金銭的な支給の代わりに本人のスキルアップに繋がる語学学校や自動車免許取得のための教習所の受講料を会社が負担するケースもある。

 

多くの日系企業では、市場の相場に沿って比較的一律で従業員の昇給を実施している。しかし、優秀な人をしっかり評価し、目に見える評価をすることが中国では好まれるため、これでは優秀な人材は定着しない。他社から好条件を提示され、転職してしまうケースが多く見受けられる。これを防ぐためには、「平等」ではなく「公正・公平」な人事評価に基づいた昇給率・賞与の設定により、業務成果によってしっかり差をつけることが必要である。

 

つまり、中国で成功する人事制度の重要な要は、客観性のある人事評価制度であるといえる。そしてそれが給与制度と連動し、正しく運営されていることが大切である。成功する人事評価制度には2つポイントがある。一つは、職務定義。明確な職務内容と職務権限がなければ、客観性のある評価ができない。二つ目は、コミュニケーションである。何を持って社員が評価されているのか、また本人がそれをどう認識しているかが会社(上司)と社員(部下)の間で日頃からコミュニケーションが図れていないといけない。人事考課等の定期的なフィードバックはもちろんのこと、途中経過や業務の具体的な振り返りが重要だ。社員は誰しも「自分はしっかり働いている」と思っているため、このようなコミュニケーションなしに昇給・賞与額だけが提示されると不満に繋がる。逆に、日本と異なり、職務内容に記載していないことを社員が一生懸命していても、評価対象には入らないのも念頭に入れておきたい。

 

優秀な社員に効くリテンションのためには、社員が一同に会する旅行やイベントなど、多様な福利厚生制度の導入や人事評価基準の見直しをまずしてみるのも一つかもしれない。

(以上)

 


 

毎年パソナが実施する給与情報・福利厚生分析レポートは、下記よりご参照くださいませ。

給与情報・福利厚生分析レポート

 

コラムニスト情報

パソナ中国 深圳支店 大塚 涼右  支店長

パソナ中国華南地区営業マネージャー。2010年に米国ニューヨーク州立大学プラッツバーグ校を卒業後、パソナ米国法人・Pasona NA入社。ニューヨーク本社に営業と…  続きはこちら...

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