2017 給与情報・福利厚生分析レポート_Vol.1
2017年度調査の速報値 賞与編
前回は1月から新年度を迎えるにあたり、予算組みをする上で人事戦略を高めるため必ず社内で議論したいポイント3つ「制度」「研修」「管理(システム)」を紹介した。本年最後の本号では、2017年度「在中国日系企業における現地社員の給与・福利厚生に関する調査」より、賞与に関する速報値を取り上げる。毎年12月は、多くの企業が2016年度の評価を年内にまとめ、来年のボーナスについて見当するため、ボーナスに関する問合せが多く寄せられる。
パソナは、中国に進出している日系企業の現地従業員の給与賞与・福利厚生に関する動向をまとめた「在中国日系企業における現地社員の給与・福利厚生に関する調査」の結果を毎年まとめている。
※下記より最新サマリーデータをダウンロード頂けます。
調査概要
賞与
まず、各企業の賞与制度の有無については「あり」と回答したのは89%で昨年同様の数値となった。
そして制度がある企業においては2016 年度ボーナスの平均支給月数は、1.95ヶ月分となった。これは前年度と同じ数値である。2017 年度予測ボーナスは、1.92 ヶ月分という結果となった。日系企業は押しなべて約2ヶ月間払っていて、年度に応じて大きな差はない。
▼賞与 全体 (単位:月)
業界別では、「玩具・アパレル・パルプ」が1ヶ月強と少し他の業界より少ない。この背景には、製造業がコスト上昇に伴い、事業縮小や移転、また生産性向上を図っていることがあげられる。賃金が上昇しているここ数年の環境は、低コストで大量生産を目的に当初進出を果たしたアパレルなどの業種は機械を導入することで生産性を高めたり、他国へ生産を移す等の動きが見受けられる。
▼業界別賞与 (単位:月)
次に、ボーナスの支給月は昨年と変わらず、1月(29.2%)が最も多く、12月(22.7%)が次いだ。
▼賞与 支給月
最後に、地域別の賞与を紹介する。調査している3地域において、平均値の差はほとんどないことがわかる。支給額が高い順に、華南エリア(1.99ヶ月)、華東エリア(1.95ヶ月)、そして華北エリア(1.93ヶ月)という結果となった。昨年比においても、各地域において大きな変動は見受けられなかった。各社において、基本給が上昇傾向にあるなか、賞与はあまり差をつけず、抑えようという意図があると考える。
▼2016年 地域別賞与(単位:月)
▼2015年 地域別賞与(単位:月)
工場で働くワーカーは比較的毎月の給与を気にする傾向にあるが、多くのホワイトカラーの社員は年収ベースで処遇をみている。よって、企業では正当な評価制度、市場にあった給与・賞与、そして社員一人ひとりの活動と成果を上司が部下としっかり話し合う場を設けることで社員も企業もが納得のいく処遇制度がはじめて確立される。市場基準のひとつの参考として、本データが活かして頂ければと思う。
(以上)
毎年パソナが実施する給与情報・福利厚生分析レポートは、下記よりご参照くださいませ。