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人材育成は地道な努力
私たちは岐路に入ったか?

初夏の緑が濃くなり風薫る季節を迎えています。先日私の母校である復旦大学で開校110年を祝う記念行事が行われました。元在校生が学校に戻って行事に参加した人が少ないものの、スマホのアプリwe chatの中では、同窓たちが、外灘(ワイタン)から望む浦東の超高層ビルのボディーに「復旦110周年」の文字が映し出す写真を披露し、あの夜は、まるで世界中が名門校の開校を祝っているような特別な雰囲気でした。

しかしその後、復旦の名声が天から地に落ちる出来事が起きました。開校記念のために製作したVTRが東大を真似した盗作であることが発覚したにもかかわらず、学校側は世間への陳謝がなく言葉を濁しながら速やかに別の作品に差し替えることにしました。ここで一件落着かと思ったら、今度差し替え版が、ミュンヘン大学と酷似していることが再度話題になり、復旦大学の名前も「復印大学(コピー・ユニバーシティー)」と揶揄されてしまったという件です。この有様は元在校生として寂しいどころか、悲しい限りです。

 

いま中国全体もそうですが、派手なもの、ゴージャスな演出、奇抜な展開を好む傾向が強まっていると個人的に思います。100年も地味に開校を祝ってきたのに、なぜ110年目はそこまで大きなイベントにしないといけないのか理解を苦しみますが、勿論それを実行するメリットがあるはずです。しかし、そのメリットには、「国の将来を担う人材を育てる」という本業を遺脱しているのではと危惧します。

 

「大学の本業とは何か?」、私の理解では学生に国の将来を担う責任感を理解し、その責任を全うすることができる知識・見解の学習を支援することだと思います。いまからちょうど26年前の復旦大学のキャンパスでは、北京天安門の前で起きる抗議行事を応援するために学生たちは授業をさぼり、街に出てデモを続ける日々でした。私が在籍した日本語学科では、日本人の先生が欠席者の多さに怒り、チョークを教壇に投げて「中国には将来がない!」と言ったのが昨日の出来事のようです。そのとき先生は妊娠中で、彼女は全身の力を絞り出して言った言葉が、私に大きな衝撃を与えてくれた。あの一瞬、より大きな責任を担っているのに気づきました。

 

歳月が経っていまの私は企業の人材育成を支援する立場になりました。当時の思い出が自分の価値観の一部となり、人材を育てることは、流行に左右せず、やるべきことを、信念を持ちながら地道にやり続けるものだと信じています。残念なことに、私の母校は今回、反対の道を走ってしまったのですが、もう一度原点を考えるきっかけを提供してくれています。企業の人材育成もそうです。世間で流行っている研修プログラムを導入するよりも、自社に必要なものを考案して、場合によっては作り上げる必要があるのです。前者ほど脚光を浴びるものではありませんが、味がある、心に残るものにする大切さを、私にとっても、企業の教育担当者にとっても、肝に銘じておくべきです。

コラムニスト情報

上海C&Jコンサルティング 趙 青(永田 青) 総経理

上海希階企業管理諮詢有限公司総経理、C&Jコンサルティング株式会社社長。 中国上海生まれ。1992年中国復旦大学卒。その後、三和銀行上海支店を経て日本に…  続きはこちら...

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