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投資効果のある人材は「資質」で選抜する
〜リスク〜

2015/02/28 執筆者 :

「せっかく人材育成に時間とお金をかけるなら、できるだけ効果の高い人に投資したい。」 新たに研修体系を整備する企業でよくお聞きするご要望だ。特に中国に於いては、高い離職率という事情もあり、日本よりも人材投資にメリハリを付けるケースが多く見受けられる。ならば、「何を」やるか?の前に、「誰に」やるかを考えることの重要性は高い。

 

「資質」を見る

 

A(社員数1,000名・製造業)では、日頃の評価結果や評判をもとに次世代リーダーの候補者を約15名選抜し, 2年間ほど育成施策を展開してきた。しかし、育っている感触をつかめないままであったため、このままそのリーダー候補の方々に育成投資を続けていくか、それとも新たにリーダー候補を選抜するかを判断するために,アセスメン トを実施することになった。

アセスメントの基準は、 “リーダーに必要な「資質」とした。「資質」とは幼少期を中心に20歳頃までに形成される、後から身につけることが難しいとされる能力だ。例えば、リスクをとってチャレンジをする能力や、抽象的な概念を理解する能力は、後からは開発しにくい「資質」であると言われている。一方で、論理的思考、問題解決やコミュニケーションのスキルは研修等で、後天的に身につけやすい。

 

アセスメントの結果、同社では、決められたことを決められた通りに進め、周りに気を配れるようなコミュニケーションスキルに長けた人物が評価され、選抜されていることが分かった。同社は単一のヒット商品で全社の売上を支えている現状を脱却し、コア技術を活用した新たなビジネス展開を模索している。リスクを取り、将来のメシの種となる事業を立ち上げ、導いていくリーダーが求められていた。既存のリーダー候補たちにはスキルは高いが「資質」が劣る人が多く、人材育成の効果が低い原因が、選抜基準にあることがアセスメントによって浮き彫りになった。

 

人材ポートフォリオ分析

 

「資質のフィット度合い」と「スキルの高低」から、育成対象者がプロットして、育成方針を整理する「人材ポートフォリオ分析」という手法がある。この手法を使えば、現在の評価結果や評判にとらわれることなく、資質を考慮したアサイン・異動 配置、教育が考えられ、個々のポテンシャルを最大限に引き出す施策が打てるようになる。

特に現在のような環境変化が激しく、人材育成の原資が限られている中で、有効な人材投資を行うためには極めて有効な考え方であると筆者は考えている。何が「資質」なのかの詳しい分類や、それを見極めるアセスメントには専門家の目が必要ではあるが、効果の上がらない人材育成に投資を続けるよりも、一度人材ポートフォリオ分析を検討してみてはいかがだろうか。