財務管理の重要性
人事コンサルタント 宮城紀生(WAYA)の回答
例年より遅い春節のおかげで、やけに長く感じられた旧正月ムードも終わり、企業経営管理の皆様は前年度の財務関係処理に勤しむ頃ですね。
中国進出の会社経営においても財務管理は重要です。親会社財務スタッフの投入は限度もあり、現地の他部門の協力及びマネージメント参画意識が進出の成功是非を決める要素は過言ではありません。
どんなに品質の良い製品を作っても、どんなに多くの商品を販売しても、会社が儲からなくてはダメですね。
不良率低減、売上目標達成、そして利益も計画通りにあげてこそ会社の経営として成功なのです。そのために行う毎月及び定期的な全部門へのチェック作業が財務管理なのです。
今回のコラムは、会計財務業務以外の方のために重要な管理の基本を述べます。
発票管理(中国の公式領収証)
会計の売買や経費計上には発票が基本です。発票が無ければ税務局は認めません。
税務局は発票で税の管理を行ないます。仕入発票が未収期間は正しく計上できなく、その分の売上も正式には計上できません。発票を発行する方も、受ける方も、正しい発票でなければ無効です。
※香港等含む国外発行の領収証は例外として認めています。
経費(販促、旅費、交際費等)として提出した発票がニセモノのために税務局から査察を受けた会社もあります。部下等へのコンプライアンス管理も含めて要注意です。
資産管理
製造業をはじめとする商社等のすべての企業に重要です。特に在庫は会社の大切な資産です。年度末の棚卸だけではリスクが多過ぎます。せめて四半期毎に仮棚卸してチェックが必要です。製品や商品、部品、資材や副資材、損耗品、不良品が紛失して大きな損失を出す企業も有ります。セキュリティー管理を徹底し、棚卸差異の要因を分析し、現場スタッフへの徹底した管理が再発を可能な限り抑える事になります。
販売管理
如何に良いモノを良い条件で仕入れる購買管理も重要ですが、中国では販売管理、特に売掛管理が日系企業を悩ませています。苦労して売ったのに支払い入金が未納、よく起こる中国事情です。縦割り組織の会社環境では”営業だけの責任”になり兼ねません。これも全社で課題を共通認識して対応する必要があります。ヒントとして、ちなみに売掛金回収で実績ある企業は、”しつこいくらいの請求の催促”です。もちろん合法的な方法によります。
会計管理
管理職の皆さんは部下の売上仕入や経費等の伝票チェックも必要です。会計のミスは往々にして最初の現場で発生するものです。計算ミスや計上科目等誤りをチェックし、その原因を分析しながら部下と一緒に改善していきます。小さなミスを早く見つけ出して、大きなミスへ拡大する前に防ぐことが、すべてのマネージメントに共通するポイントです。
中国の会計年度は1月1日から12月31日です。決算月は12月末になっています。ところが、毎月の税務申告が義務付けられているので、毎月が決算月みたいなものです。たとえ当月にミスがあっても、チェックさえ怠らなければ翌月に調整できるため、年度末においての財務管理業務は正確性も増します。管理職の方は毎月の財務諸表の担当実務の推移を確認する事で管理意識が上がり、会社の業績アップにも貢献できるはずです。