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労働契約についてよくあるQ&A
~人事コンサルタント 宮城紀生(WAYA)の回答~

2014/10/30 執筆者 :

Q: 労働契約書を作成する際の注意点を教えてください。

日本本社とほぼ同様の内容を指示されていますが、法的にはいかがでしょうか?

 

A:契約書内容を確認しなければ判断できないですが、中国の労働法及び労働契約法に

則しておれば大丈夫です。但し、深圳市労働局(人力資源及社会保障局)は独自の

フォーム(ひな形)を推奨している傾向があるため、多少の問題が発生する可能性は

否定できません。会社の社是・社訓や理念の厳守等が含まれていると修正されるかも。

有能な法律家・弁護士や、当局としっかり交渉・説得できる実績を持つ

コンサルティング会社等に委託される方法をアドバイスします。

 

当局のフォーム内容以外に、「会社の業務命令に従うべき…違反すると社則違反」、

「無断欠勤において、処罰(解雇)対応の明確な日数」などの項目も記載検討して下さい。

また、給与支払日については明確な日付の記載は避けて、月末や下旬などの表現を

お勧めします。

 

 

Q:試用期間中は「社会保険」の加入を保留しても大丈夫でしょうか?

 

A:ダメです。入社当月に申請する義務が会社に有ります。また、「住宅積立金」への

申請も同様に義務となっています。

 

 

Q:労働契約の更新日に関しては期間満了日からみて、いつ頃がベストですか?

 

A:労働契約の更新は必ず満了期日までに締結して下さい。締結不履行で訴えられて

多くの従業員へ2倍給与支払いという多額の損失を負った企業が有ります。

 

 

Q:現地法人の営業を強化する目的で、即戦力として現地営業員を募集するのですが、

能力を判断するのに最低でも3ヶ月間は必要です。その期間を臨時スタッフとして

労働契約締結せずに勤務させる場合に法律的な問題は有るでしょうか?

 

A:法律(労働契約法)においては、会社は必ず従業員の入社後1ヵ月以内に

労働契約書を締結しなければなりません。試用採用を開始した時から労働契約は

必要になるのです。もし入社後1ヵ月を超えても締結しない場合は、会社は従業員

に対して入社翌月から締結する日までの給与を2倍支払う義務が発生するので注意

が必要です。

 

 

Q:昨年入社したワーカーが、勤務10ヵ月後の今月末の自己退職の際に「10ヵ月分

の給与を払え」と要求しています。理由は労働契約書にサインしていないからとの

事ですが、人事担当に確認したところ当人は「契約書内容を詳しく確認後にサイン

する」と言ったまま保留して、その後忘れていたようなのです。この場合、支払う

義務は有るのでしょうか?

 

A:有ります。法廷争議に持ち込まれると会社側に不利な採決になります。理由は

労働契約を締結していないからです。会社は従業員の入社後1ヵ月以内に必ず

労働契約書を締結させなければならないのです。その義務を怠ったことになる

ためです。このケースの場合、当人は“確信”的に法律を悪用してサインしな

かったかもしれません。その場でサインを保留または拒否する従業員に対しては、

会社は労働関係の終了を書面にて即刻通知する必要が有ります。別人のサインの

契約書で同ケースで敗訴された企業も有ります。信じられない話しですが、事務所

に侵入した泥棒(?)が金目の物には目もくれず、労働契約書の会社側控えを

大量に盗んだ事件も有るようです。

 

売買に関わる伝票や発票と同様に、労働契約書はお金に関係するとても重要なもの

とお考え下さい。

 

 

WAYAコンサルティング宮城紀生